33.資本主義の未来

資本主義の未来 資本主義の未来
レスター・C. サロー Lester C. Thurow 山岡 洋一

ティビーエスブリタニカ 1996-10
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2004年の正月に読んだ本です(だから「新春」というワードが登場するのだが)。

これまで紹介してきた未来予測本が「小さな政府」を志向していたのに対し、
この本はそれに待ったをかける立場を取っている。
ピュアな資本主義への警鐘を鳴らしているという点で、
非常に示唆に富む内容である。

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18.ウェブ進化論

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
梅田 望夫

筑摩書房 2006-02-07
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世間にかなりセンセーショナルを巻き起こした本なので、
いまさら取り上げるのはやや遅きに失する感さえあるが、
読んでしまったものは仕方がないので記録しておくことにする。

「WEB2.0」という言葉は聞きなじみがあるかもしれないが、
その特徴とは何か、それによって何がもらたされるのか、
という概念を理解する教科書として非常に有益な作品である。

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15.新・経済原論

大前研一 新・経済原論 大前研一 新・経済原論
大前 研一 吉良 直人

東洋経済新報社 2006-09-01
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未来予測本の最後。

大前研一という人の名前は聞いたことない人はいないと思うが、
この人は日本よりもむしろ海外で評価の高い人のようだ。
英国のエコノミスト誌では「現代社会の5人のグル」に選ばれている。

「ボーダーレスエコノミー」の著作でもわかるように
早くから経済のグローバル化・フラット化を唱えてきた人である。

これまでの常識が通用しなくなる次の時代(Next Stage)の姿を描き、
その処方箋を示そうとする、500ページを超える大作である。
おっさんも読破するのに2週間弱かかった。

論点は多岐に渡っているのだが、ここでは氏の主張する
「経済のグローバル化」に焦点を当ててみたい。

よく、経済のグローバル化は「アングロ・サクソン化」とか
「格差拡大」をもたらすと論じられることがあるが、
それは違うと筆者は説く。

「経済のグローバル化」によって、例えばバックオフィス業務を
インドなどの途上国にアウトソースした場合、
たしかに国内の雇用あるいは
賃金水準に影響を及ぼし、国内では格差は広がるかもしれない。

しかし、グローバルな視野で見たらどうだろう。
その分、実は途上国の雇用が増え、賃金水準が上昇している。
ということは、グローバルな観点から見たら、
むしろ格差は是正されているではないか。

つまり、見ているものが違うのだ。
「経済のグローバル化」の本質は、
世界視野で見た経済的効用の最適化である。
だから、「フラット化」という言葉でも置き換えられるのだ。

「国民国家」は一国内での最適化を図る仕組みであるため、
当然世の中の大きな流れの邪魔になる。
だから政府は小さければ小さいほどいいのだ。
「グローバル化」と「小さな政府」はもはや「2こいち」なのだろう。
これまでの4冊の共通する思想だ。

では、こんな時代にわれわれ個人はどうしたらいいのか。
氏が強調していたのが「柔軟性」と「教育」の重要性である。

まず、「柔軟性」について。
「国民国家」のイデオロギーを捨てろと説く。
氏は「ビジネス>政治」を主張する人だからだ。
しょうもない偏見は自らの可能性を縮めるだけである。

おっさんは政治と経済はどちらが優位に立つかについては、
いまだに解を持っていない。
中国なんかを見ると、
明らかに「政治>ビジネス」のような気がするし。

しかし、イデオロギーなどで自分を縛ることで
せっかくのチャンスを逃す可能性がある点についてはAgreeだ
(これは筆者が明確に主張した点ではないが)。
これは相場にも通じるような気がする。

あと、世の中は常に変わり続ける。
しかも急速な速さで。
だから、今通用する知識が5年度、10年後も通用するとは限らない。

ひとつの仕事で一生添い遂げられると思ってはいけない。
常に環境の変化に合わせて、自分を変える「柔軟性」を
身につけなければいけない。

そのためには生涯勉強である。
世界にキャッチアップしていくカギも「教育」。
世界から貧困をなくすカギとなるのも「教育」である。

世の中の変化に合わせて自分を磨く努力を続けていく。
これも相場の波乗りとよく似ている。
「人生即ち相場なり」か。

まずは、英語からだな。
この本も原著は「英語」である。
好き嫌いは別にして、「英語」は世界共通語に
なってしまったのだから。

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大前研一 新・経済原論 大前研一 新・経済原論
大前 研一 吉良 直人

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14.富の未来

富の未来 上巻 富の未来 上巻
A. トフラー H. トフラー 山岡 洋一

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富の未来 下巻 富の未来 下巻
A. トフラー H. トフラー 山岡 洋一

講談社 2006-06-08
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「未来予測本」、2冊目と3冊目。
かなりデフォルメします。

論点が広すぎるので、細部は是非じかに手にとってみてもらいたい。
「予測」と「啓蒙」と「オプティミズム」に富んだ、
類まれなる名著である。

そもそも「富」とは何?ってとこから話は入る。
そんなの「カネ」に決まってるじゃねえかよって思うでしょ。
いやいやそうではない。
「カネ」で計れる経済規模なんて限られていると筆者(夫妻)は説く。

ちょっと話が逸れるが、
そもそも「カネ」の存在意義って何だろうって考えてみた。
我々が「カネ」の存在を認めるのは、それに「交換価値」があるからだ。

ここで仮に「カネ」のない世界を想像してみよう。
「カネ」のない世界とは、「物々交換」の世界である。
例えば、おっさんが「りんご」を持っていて「みかん」が欲しいとする。
では、おっさんが「みかん」を手に入れるにはどうすればいいか。

「みかん」を持っている人を探せばいいと思われるかもしれないが、
それだけでは不十分である。
答えは、「みかんを持っており、かつりんごが欲しいと思っている人」
を探さなければならないのである。

これは結構至難の業であることがわかるだろう。
「みかんを持っている人」だけならまだしも
「みかんを持っており、かつりんごが欲しい人」となると、
その人を見つけ出せる確率はぐっと減ってしまう。

そのミスマッチを解消させるために、何にでも交換可能な「カネ」
というものが生まれた。これが経済活動を飛躍的に増大させた。
先ほどの例で言えば、おっさんはわざわざ
「みかんを持っていて、かつりんごを欲しいと思っている人」
を見つけなくても、
単に「りんごが欲しい人」にりんごを売って「カネ」に変えて
その「カネ」でみかんを買えばよいのである。

「カネ」はマッチングコストを解消するもの画期的なものだった。
しかし、それを「IT」が変えてしまった。

「IT」による高度なネットワーク化はあらゆるものの
マッチングコストを飛躍的に削減した。
「みかんを持っていて、かつりんごが欲しい人」も
簡単に見つけられるようになった。
もちろん、すべてがそうなるわけではないが。

そうなると、ネットを介して現代版「物々交換」とも言うべき活動が
膨大に行われるようになってきた。

半ば絶対的な存在であった「カネ」の価値の相対化が始まった。
ここでも出てきた。
「知識」そのものに「交換価値」が生じたのだ。

そして、「知識」の交換によって得るものは「カネ」の場合もあるが、
「カネ」ではなく、「名誉」という新たな「価値」に重きをおく人が出てきた。
Linuxなどのオープンソース現象はまさにその表れだ。

人間は誰かに認められたいという欲求がある。
マズローの5段階欲求説によると、それは人間の最高位にある欲求だ。
急速なネットワーク化によって、誰でも世界とつながることができ、
「名誉」を得る可能性が格段に広がった。

そして、「カネ」のためじゃなくて、
純粋な「名誉」を求めて「施し」に邁進する。
IT革命は、人間の「善」を復活させる大きな力になるかもしれない。

悲観論が優勢の時代においては、
強烈なオプティミズムにあふれた作品である。
彼らはITによる世界のフラット化とテクノロジーの発達は
明るい未来をもたらすはずだと考えているし、
世界の貧困を撲滅できる可能性があると本気で考えている。

概して人間は「変化」に弱い動物であると思う。
そして、自分の知らないことは無思慮に批判的になる。
「知らないこと」=「悪いこと」であると。

今、日本だけでなく世界が悲観的になりがちなのも、
国内・海外とも内憂外患を抱え、先が見えない世界であるからだろう。
たしかに今は「革命期」なのでしばらく世界は混乱するだろう。

しかし、「知らないこと」=「悪いこと」ではない。
人間の善の部分を信じ、テクノロジーを味方につければ
必ず21世紀の未来は明るくなる。
そんな希望を持たせてくれる、素晴らしい大作である。

「富」=「幸福」である。
しかし、人間の幸福を「カネ」だけで計るのは間違っている。
そして、「カネ」だけではないことを人間は気づき始めた。
それこそが、明るい未来への第一歩なのかもしれない。

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13.ネクスト・ソサエティ

ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる
P・F・ドラッカー 上田 惇生

ダイヤモンド社 2002-05-24
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いっちょまえに未来に不安を感じてみた。

「悩みなんてないんじゃないの?」と言われることがよくあるが、
何をおっしゃいますやら。
おっさんはガラス玉のようなハートをしているのです。
かなり傷つきやすくて敏感肌なのですよ。
悩みがないように見えるのは、「ここは舞台・私は女優」だからだよ。

おれって、私って、この先どうなるんやろう
って考えたことありませんか?

何か戦争やら紛争やら凶悪犯罪やらも頻発してるし、
世の中どんどんグローバル化してネットもどんどん進化してるし、
自分は取り残されたり、将来ちゃんと生きていけるか
不安になったりしませんか?

この先世の中どうなっていくのか。
この先生き残っていくために自分は何をすればいいのか。
正解じゃなくてもいいから専門家の見方を知りたい。
というより自分で考えるための材料がほしい。
そんな思いから「未来予測本」、4冊ほど読んでみた。
今回はその1冊目。

著者のピーター・ドラッガー。「マネジメントの父」と呼ばれる
経営学の第一人者。2年前に96歳で永眠されたが、亡くなる直前まで
バリバリ現役だったとか。おっさんも生涯現役でいたい。
氏を詳しく知りたい方はこちら。
http://www.portem.co.jp/DR..htm

では、その経営学の第一人者である彼の思い描く未来
(ネクスト・ソサエティ)とはどんなものなのか。
論点は多岐にわたるが、一言でいうと「知識社会」である。

その特徴を挙げると以下の3つ。
① 知識は資金より容易に移動する ⇒ ボーダーレス化
② 万人に教育の機会が与えられる ⇒ フラット化
③ 万人が生産手段としての知識を手に入れる ⇒ 高度競争化

氏は「IT」は変化の一要因に過ぎないというが、
上記のような新たな制度・理念・イデオロギーをもたらすのは
間違いなく「IT」である。

「IT」によってもたらされる高度なネットワークによって
世界がフラットに1つになり、それは同時に高度な競争社会を生む。
「組織」の必要性が薄れ、間違いなく「個人」の時代になる。

我々の競争相手は格段に増える。

まずは日進月歩で進化する「機械」。
人間がしていた仕事がどんどん「機械」に置き換わっていく。
人間にしかできなかった仕事を「機械」がするようになる。
「機械」に置き換わった仕事は急速に価値を低下させる。

次に「海外」が競争相手になる。
国内の労働者がしていた仕事が
どんどん「海外の労働者」に置き換わっていく。
安い労働コストを求めて、企業がどんどん「海外」に出て行く。
「海外の労働者」に置き換わった仕事は急速に価値を低下させる。

両者にいえることは、「代替手段のある仕事」は
急速に価値を低下させるということ。
逆に言うと、「知識社会」とは「自分にしかできないこと」を
持っている人がその果実を得る社会になるということ。

結果は極めてシビアに判断される。当然格差は開いていく。
しかし、誰にでも門戸が開かれる。誰にでもチャンスはある。
これぞ究極の民主主義なのではないだろうか。

そして、世の中は急速に変化していく。
今日通用することが明日には通用しないような時代になる。
つねに「自分」を磨かなければいけない。
生涯研鑽を続けたもののみが、
「ネクスト・ソサエティ」の勝者となる。

大変な時代が来てしまったと思うか、
絶好のチャンスが来たと思うか。
おっさんは未来への希望にかけてみたい。

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ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる
P・F・ドラッカー 上田 惇生

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