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61.地政学

地政学―アメリカの世界戦略地図 地政学―アメリカの世界戦略地図
奥山 真司

五月書房 2004-10
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マーケットに携わっていると、
よく「地政学リスク」という言葉を耳にするが、
果たして「地政学」とは一体何なのだろうか。

「地政学」とは、

「地理概念上に展開される国家政治戦略の学問」

のことである。

難しく聞こえるかもしれないが、デフォルメすると、
要は「世界情勢の見方」を考える学問であると言える。
そこには軍事的要素も深く絡んでくるので、
一見「軍事学」と誤解される方もいるようだが、それは違う。

確かに軍事的側面からの考察も多分にあるのだが、
それだけでなく、「政治」「経済」等あらゆる力学から
世界情勢を読むことを目的とした学問なのだ。

今や世の中はグローバルで動いており、
国内の出来事だけに目を向けているわけにはいかなくなった。

しかし、日本のマスコミはこの手の話題に関して扱いが小さく、
ややもすれば世界の大きな動きに取り残される可能性がある。 

「地政学」を知らずして世界情勢を語ることはできない。
世界がどういう力学で動いているのか。
「地政学」を一から勉強したい人のための画期的入門書である。

日本では戦後地政学を封印されてきた。

しかし、ここで重要なのは、世界の施政者たちは、
この地政学の基本を抑えており、その地政学の理論に基づいた
ゲームのルールの中で外交をしているという事実だ。

従って、本書を一読するだけで、
複雑怪奇な世界情勢がどういう力学で動いているのか、
薄っすらとでもわかるような気になれる。
この力学は新聞やテレビを見ても決してわからない。

逆に言うと、我々は「地政学」を知っておかなければならないのだ。

本書は冷戦からソ連崩壊のよる米国の一極集中、
そして、再度の多極化へと時代が変遷としていく中で、
地政学の体系がどのように変化してきたのか。
その学問体系と歴史がわかりやすく述べられている。

前段でも述べたが、
地政学とは、政治・経済・軍事等のあらゆる側面から
世界情勢の動きを読む学問であるため、
その内容は極めて「現実的な」ものとなる。

この場合の「現実的」というのは、
世界は各国のパワーバランスの均衡によって
平和を保っているという「現実」を直視しているという意味でだ。

だから、「みんなが同じ倫理観の元で『平和』を叫んでいれば
本当に平和がもたらされる」なんて幻想を持ったりはしない。
現実はそんな「お花畑」のような世界ではないのだ。

そういった「現実感」から導き出される
「国を治める鉄則」は、必然的に以下のようなものになる。

● 法の秩序が守られている国内では民主的改革でもいいのだが、
  国際社会という無法地帯では、どの国の戦略家も保守的でなければ
  対外戦略は練れない。

● まず軍事によって国家の安全が保障されなければ、民主制度も
  経済も何もあったものではない。

● どの国の政治を行う上でも、一番初めにやらなければならないのが
  国の安全を確保するということである。

● 国の安全や秩序が守られていなければ、経済活動も民主主義も
  何も始まらないわけであり、敵に攻められたり、テロや内戦がある
  状態では社会も発展のしようがない。

これを「軍国主義」だの「好戦的」だのといった
表面的な印象論で切り捨てることができるのだろうか。

地政学―アメリカの世界戦略地図
奥山 真司

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