47.憲法とは何か
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なるほど、いわゆる「戦後民主主義」を信奉する人達は
こういう発想をするのかな、という思いで読んだ。
【参考】戦後民主主義とは
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E5%BE%8C%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9
この本と同じにおいがした。
極めてリベラルな理想主義者である。
前回紹介した書がリアリスト的見地から書かれていたので、
本書はそれとは全く対極に位置することになる。
両者を比較して読んでみるとなかなか面白い。
簡単な対比表を作ってみた。
まず、理想主義的観点からは、「立憲主義」=「価値観の相対化」
であるという理解が上げられる。
これは、民主主義において人間は平等であるから、
その平等な個人が有する価値観は尊重しなければいけないという
論理から来るものと思われる。
ここで、筆者はその「価値観の相対化」の発見は、
大航海時代以降に西洋が他文化に触れたことによるのが
起源であると認識しているようだが、リアリストの見地からするとそれは違う。
西洋キリスト教は他文化を尊重することはなかった。
功利主義的側面から利用したものはあったろうが、
基本的に他文明は破壊し尽くした。
有色人種に対する膨大なジェノサイドがそれを証明しているではないか。
自分たちの文化が絶対であるという認識はいささかも揺らがなかった。
「平等」の概念はキリスト教の「カルヴァン派」から産まれたのだ。
それは人間の価値を積極的に認める理念ではなく、
絶対的な神の下に、徹底的に人間を否定することから生まれた、
極めて「否定的な平等」という概念なのだ。
だから、そこから生まれた「立憲主義」なり「民主主義」が
「人類普遍の原理」であるはずはなく、
従って「立憲主義」が価値の多元化に立脚するというのも怪しいと考える。
また、筆者は「冷戦の終結は、立憲主義・リベラルな議会民主主義の
共産主義に対する勝利」と断じているが、個人的にはそれも違うと思う。
冷戦で勝利したのは、「民主主義」ではなく「資本主義」である。
「共産主義」の政治体制が負けたのではなく、
「共産主義」がもたらした「経済的貧困」が負けたのだ。
そうでなければ、民主主義に転換したはずのロシアで、
再度プーチンという独裁体制が取られようとしているのも、
冷戦終結から20年経った今でも、共産党独裁である中国が崩壊しないことも
説明がつかない。「経済」という視点がなければこの現象は理解できない。
平和を志向する考えは大いに理解できる。
おっさんだって、戦争なんて起こって欲しくない。
しかし、その「平和」をもたらすための術が
「争いの元となる『国家・国境』を否定して、人類普遍の原理である
『立憲主義』を掲げる」
というだけでは、リアリティに欠けるといわれても仕方がない。
「国家」があるから戦争が起こるのではない。
人間が他人と関わる限り、争い事はなくならない。
「国家」を否定する共産主義体制で行われたことは壮絶な「内ゲバ」ではないか。
民衆からみたら、被害を被る点においては「戦争」と何ら変わらない。
「国家」というもののあり方を考えるのは有益かもしれないが、
「国家」がなくなれば、「戦争状態」がなくなるというのは錯覚である。
なぜ、この本(デモクラシーの論じ方)にも本書にもリアリティがないのか考えてみた。
それは、両方とも「法学」や「政治学」の学説から出られず、
肝心要の「人間」の視点が欠けているからだ。
ここで言う「人間」とは、人間の「思想」のことであり、
人間の「思想」とは、その背景にある規範である「宗教」である。
つまり、社会の仕組みというには「人間」が作りだすものである以上、
「人間」に関する考察、即ちより社会科学的側面からの考察が必要であるが、
その視点が欠けていることが、リアリティを感じられない理由ではないか
という気がした。
しかし、こういう考えをのっけから否定するのでなく、
ちゃんと触れてみることは、非常に大切であると思う。
まず、「相手を知る」ことから身のある議論が始まるのだ。
そのことを忘れてはいけないと思う。
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